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顔の一部である口は、食べるということと話をするという大事な機能があります。その中の食物を食べるということは、身体に栄養を与え生命を維持するためのものです。それは食物を細かくカミ砕き、胃や腸で消化され栄養として体に吸収されることです。しかし、歯並びが悪ければカミ砕くという機能は、十分に発揮されず、食べ物を大きな固まりのまま飲み込んだり、堅いものは敬遠し好き嫌いが増えたりします。そうすると胃や腸などの消化器系に負担を負わせ、また身体にも十分な栄養を与えることはできません。

もう一つの機能である話すことは、人間同士のコミュニケーションを行うもので情報の伝達や交換には欠かせないものです。すなわち人間関係を円滑にするためのものです。しかし、歯並びが悪ければ、この話をするときの発音が不明瞭になります。特にアルファベットを使用する言語(英語など)は特に発音が不明瞭になります。

このように口の本来の機能を十分に効率よく発揮するには、上下とも綺麗に並んだ歯並びが必要であり、この上下の歯並びが緊密に咬合(かみ合わせ)していなければなりません。しかし、ただ綺麗に並び噛んでいるだけでなく、その形や機能を寿命とともに維持できなければ意味がありません。そのためには、口の中の環境が良好であることが非常に重要な要素となります。

口の中が良好な環境であるとは、歯ミガキをすることは当然のことですが、その前に口の中にいる菌が安定しやすい環境であること、そして、唾液でいつも濡れていることが重要となります。

口の中の菌が安定するとは、どういうことか?人間は無菌という環境にはなく、身体のあらゆるところに菌が存在しています。手を洗う、顔を洗う、お風呂に入るということは、清潔にするということです。これが菌の安定という意味で、健康であることを言います。いくら石鹸で洗っても菌がいなくなるという意味ではありません。空気中にも色々な菌が存在し、身体に付着、進入してくるのが普通日常の生活です。人間には抗体というものを作る機能があり、通常の生活において清潔にしていれば何も害はありません。空気中には色々な菌が存在しますが、この空気は鼻という器官から取り込まれ副鼻空というフィルターを通し、ろ過されてきれいな空気が肺へ送られます。鼻にはろ過する機能がありますが、口にはろ過する機能はありませんので空気を入ることは、口の中に色々な菌が入ってくることになります。意識して口から呼吸するわけでなくても、いつも口がポカンと開いていると空気中の菌が侵入してくることになります。この口がポカンと開いていることは、実は鼻疾患だけが原因ではなく、歯並びからくる原因がほとんどと言っても過言ではありません。電車の中などで寝ている人やリラックスしている人の横顔を見ると口が無意識にポカンと開いている人を数多く見かけます。こういう人が口の中の菌が安定しづらいといいます。

口の中の唾液でいつも濡れている状態というのは、無意識でも口が絶えず閉じているというのが非常に重要な要素となります。口がいつも開いている人は、冬などの乾燥時期は、口の中も乾燥しやすく唾液が少なくなります。唾液には非常に重要な機能があり、虫歯にしづらい歯周病になりにくいなどの免疫的作用があり、口の中を唾液のバリヤーで保護していると考えてもらえば良いと思います。しかし、このバリヤーが薄くなれば当然虫歯や歯周病になる危険性がより増大することになります。要するに口の中に菌が入りにくく、乾燥しづらい環境であるためには、話しているとき意外は常時上下の唇が閉鎖していることを指します。口腔内の良好な環境を作るには、口腔外の環境の影響を最小限に抑える口元の形態が必要ということです。たとえ上下の歯並びが綺麗に並びきちんとかみ合わせをしていても、無意識に口がポカンと開いている人は、そのせっかくの食べる、しゃべるという機能を長く維持することが難しいということになります。

矯正治療は、食べる、しゃべるといった機能を改善するだけが目的ではなく、その機能を長く維持できる環境をつくることが真の目的となります。

 
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